【提言・報告 Reports
 

リンク 標    題  報告者
 WP-No.09  ODA活動における専門性向上の問題と提案 鳥山 正光 
WP-No.08  アフリカ開発会議(TICAD)10年の足跡 堀内 伸介 
WP-No.07 政府開発援助についてのコメント
(Aid in Africe doing more harm than good)
堀内 伸介
WP-No.06 TICADWによせて 堀内 伸介
WP-No.05 Mayhem in KENYA (英語版) 堀内 伸介
WP-No.04 ケニヤ・ナイロビ貧困対策プロジェクト 溝内紳之他
WP-No.03 アフリカ開発会議10年の足跡 堀内 伸介
WP-No.02 サブ・サハラ・アフリカ諸国の民主化支援一提案 堀内 伸介
WP-No.01 ナイロビのストリート・チルドレン救済プロジェクトについて 堀内 伸介
WP-No.00 ご意見、ご感想、ご質問をお寄せ下さい  

WP-No.4
ケニヤ・ナイロビ貧困対策プロジト
溝内 紳之
轄総ロ開発アソシエイツ
ILCPプロジェクトマネジャー

1. 背景とSCCの努力
  “ストリートの子供を救いたい”という願いが、初めにあった。 ナイロビの最大のスラム、人口50万人ともいわれる大スラム・キベラのケニヤッタ・マーケットにたむろする子供たちである。給食、傷の手当て、識字教室というSCC(Save the Children Centre)の「Entry Point」の活動が始まった。なお、SCCは、1984年設立で、「マトマイニ・チルドレン・ホーム」という孤児院を、運営しているNGOである。
 1994年、識字教室、傷の手当ての無料サービスを常時行った。「Entry Point」の活動は、対象が、「ストリート・チルドレン」だけでなく、子供達の母親、「ストリートの若者」ひいては、
「ストリート・ガール」達にも拡がった。
 子供達の中には、家出をして所謂『ストリート』に出てきた『ストリート・チルドレン』と、『ストリート』に出る手前の子供達も多い。学校へゆきたい子には、識字教室へくること、家族に問題がある子には、家族に会うために家庭訪問をした。
 飲んだくれの父親、無力な母親、バラバラになった家族のメンバー、などの根の深い問題の前には、SCC(Save the Children Centre)というNGOの努力の枠では無力に近かった。
2. プロジェクトILCPのスタート
 活動の枠を広げるために、一定量の大きな資金枠の元で、プロジェクトILCP(Improvement of Living Conditions of the Poor)がスタートした。JICAの新しいスキーム、主としてNGOの活動を支援する「開発パートナー事業」であった。
 2.1 スタッフとプロジェクトの基本姿勢
 現地人のフルタイムのスタッフを20人弱雇用した。 スタッフは、高校程度の教育を受けた人達で、援助という仕事には未経験ではあったが、スラム育ちの人が半数近くいて、スラムの事情には通じていた。
 ILCPの支援の対象は、従来と違って、『ストリート・チルドレン』だけに限らず、広くスラムの住人と決めた。
 2.2 LCPの基本方針とアプローチ。
 貧窮の住民を援助するに当たっての基本方針は
  (1)「支援として援助はするが、依存心を育てることはしない」従って、「お金やモノをあげない」こと。
  (2)「依存心ではなく、自立心を育てる」後押しの支援をすること。
である。また、手段としてのツールは、二つである。
  イ)カウンセリング
  ロ) PCM(Project Cycle Management)法
 プロジェクトの活動、期待する成果、達成する目標を予め一定のロジックで決めて、プロジェクトを計画する方法である。
3 ILCPの活動。
 スタッフの仕事は、カウンセリングを基本業務としながらも、
 1. Entry Point」の活動、給食、傷の手当て、識字教室の継続
 2.子供達のリハビリテーション
 3.家族達のEMPOWERMENT(「稼ぐ力」を着けさせること)
 4.健康・衛生問題の啓発と教育
 5.他のNGOとの共同協力作業である。
 3.1 「Entry Point」とリハビリテーション
 ILCPの「Entry Point」の活動は、給食、傷の手当て、識字教室に加えて、青空音楽教室、サッカーによるボールリハビリが加わった。
 3.2リハビリとストップ・リハビリ
 子供達とのカウンセリングを通して、シンナーをやめたい子供、通常の生活に戻りたい子供は、リハビリを専門とするNGOの力を借りて彼等の運営するリハビリ・センターに入れた。リハビリテーション・センターは、ストリートの影響からの物理的隔離が第一義である。また、学校へ戻りたい子供は、親の意向を尊重しつつ、インフォーマル・スクールか、公立のフォーマルスクールか、または寄宿制の学校かを選ぶ。
 3.3 EMPOWERMENT
 ストリート・チルドレンの親は、「稼ぐ力」が足りないという問題を抱えている。ILCPでは、「稼ぐ力」を着けさせることを、EMPOWERMENTと呼んでいる。
  また、子供達の中で、学校よりも働きたいという希望のある子供については、徒弟制度の職業訓練でスキルを付けさせることにした。 裁縫、散髪、美容師、肉屋、自動車修理、靴磨き、などである。スキルを付けると、独り立ちして自立出来る。
  これまでのところ、ENPOWERMENTには、以下の選択肢が代表的なものである。
  (1)   Small Business
  (2) クラフト作り
  (3)   ビーズ細工
  (4) 徒弟制度
 3.4 健康・衛生問題の啓発と教育
 スラムの住民にとって、「稼ぐ力」がないことに加えて病気が真摯な努力の足を引っ張る。 劣悪な住環境、劣悪な食事による体力低下等が、病気を呼び込む。ILCPでは、スラムの住民や、スラムのInformal Schoolでの集団健康診断を、医療援助を専門とするNGOの協力で実施した。また、ILCPに出入りをしている人達に、健康・衛正に関するワークショップを開いた。
4. 持続可能性への試み
 2003年、プロジェクトILCPの契約期間の最終年になって、終了後の局面が心痛であった。被支援者が終了後も自立可能な体制が出来るように、ILCPの[Entry Point]活動の一部を休止して、新しいグループ活動支援を展開させた。
 4.1 Informal Schoolの自立支援
  Informal Schoolへはいろいろの支援をしてきた。給食が生徒達の通学率と授業への集中率向上に大変役立つので、豆やトウモロコシの給食材料を支給してきた。これらの学校、6校には、学校が収入を稼ぐ工夫を要請した。聖書の販売、バッテリーの充電器の製造販売、豆や穀物の卸売り、などの提案があり、支援を決めた。
 4.2 クラフトグループの自立支援
  クラフトグループが、自分たちで、ホテイアオイを採集し、スラム内で集まり加工出来るように、集会所設定の工夫をしている。
 4.3 各スラムの住民センター設定。
  マザレには、マザレのスラムの青年達が作ったResource Centreという集会所がある。同種の集会所をキベラなど他のスラムにも設置し、住民達の自立努力を育むセンター作りを提案している。
5. 終わりに
  2004年5月末、プロジェクトILCPは終了する。今後は、JICA内部のプロジェクトとして、JICAケニア事務所を中核として、SCCに委託して事業は継続される。
 今後は、スラムに構築されるセンターの中心リーダーの育成、自立を固く目指すメンタリティーを持った指導者の育成である。そして望むらくは、それらのセンターのネットワークの連携の上に立って、全体を指導出来るリーダーの出現が望まれる。
mizouchi.pdf へのリンク
 報文の詳細は下記からPDFファイルでダウンロードできます。
  1.  ナイロビ貧困対策プロジェクトの概要(溝内紳之)
  2.   上記英文版
  3.  ナイロビ貧困対策プロジェクト最終報告書
  ――「手に職を」こそが貧困対策――(堀内伸介)
  4.   上記英文版
  5.  依存症候群と支援          (菊本照子)
  6.  カウンセリングと変化        (久保田恵子)



WP-No.03
アフリカ開発会議  2005年5月
堀内 伸介
国際問題研究所客員研究員
轄総ロ開発アソシエイツ代表取締役
 TICADはTokyo International Conference on African Developmentの略称で東京で開催されたことに由来する。参加者はアフリカ諸国、援助供与国(NGOを含む)、国際機関で、「アフリカの貧困削減と世界経済への統合」を主題に1)社会開発、2)経済開発3)開発基盤などについて討議された。
 報告者は、これらの会議に参加した体験をもとに、会議の意義と結論、それから今後のTICADについての提言を行った。


 論文のダウンロード
アフリカ開発会議10年の足跡 PDF版報告書

WP-No.02
サブ・サハラ・アフリカ諸国の民主化支援一提案 2003年12月30日
堀内 伸介
轄総ロ開発アソシエイツ 代表取締役
(財団法人 日本国際問題研究所 客員研究員)(元ケニア大使)

 サハラ砂漠以南のサブ・サハラ・アフリカでは、南アフリカ、ボツワナ、モリシャスなどの優等生は別として、多くの国において生活水準は低下している。貧困人口も増加をしている。2015年までに貧困人口の半減という国際目標から程遠いところにある。その一方で、先進国からの援助は他の途上国地域に比較して極めて多い。90年代にはGDP(国民総生産)の10%近くの援助が供与されている。
 にもかかわらずなぜ経済成長への高い軌道に乗せることが出来ないのであろうか。多数のマイナス要因を挙げることができるが、決定的なマイナス要因は独立以来の「未熟な政治のあり方」だ。最近の表現を借りれば「貧弱な統治」に行き着く。民主主義、法による統治が確立されていないとも言えよう。
 サブ・サハラ・アフリカ諸国でも民主化に向けた政治改革が進みつつある。われわれと問題意識を共有する新たな世代が議会の中でも台頭しつつある。「貧弱な統治」を克服するには、こうした新しい世代による議会の運営能力と議員個人の能力の向上が欠かせない。そのための援助をわが国で行うよう提案したい。
 こうしたアフリカ国では議会と議員を補佐すべき機関の能力と機能が非常に限られている。危機的状況にある経済の再建を図るにも、近隣国との地域統合を進める上からも、急激な技術革新と国際経済の変化に対応するにも、まず幅広い情報が必要だ。せっかくの情報を国政に反映には、補佐する機関のスタッフが調査、研究する機会を増やし、より高度な専門知識を身に付けることが急務である。
 具体的には次のような援助を提案する。(1)議員が必要とする情報(一般情報、行政情報、専門分野情報)の提供(2)議員立法に必要な調査と基礎的な法的教育(3)政策作成のための基礎的教育(4)専門委員会制の運営、(5)議会の進行をリアルタイムでTV放送するための設備と要員の訓練、(6)近隣諸国との議会の情報ネットワークの構築とIT機器とそれを使用できる訓練の提供(7)これらの機能を効率的に遂行するための組織、要員の育成――だ。
 すでにアフリカ人自身、「貧困な統治」を痛感し、民主主義を確立するべく自ら努力している。01年には「新たなアフリカ開発のためのパートナーシップ」計画が出来、アフリカ首脳会議でも合意された。平和、安全、民主主義、良き統治、人権の尊重が開発の大前提であることは計画にも明記されており、今後各国はその実現を目指すことを約束している。
 民主的な政治が確立しない限り、どのような援助プロジェクトも「点」に留まり、「面」すなわち国全体を引き上げることは出来ない。欧米諸国はすでに民主化援助に積極的である。わが国は93年の第一回東京アフリカ開発会義以来アフリカの経済改革を支援してきた。
 アフリカの発展の限界が、「貧弱な統治」にあるとすれば、今後の協力の優先分野として、民主主義、良い統治の促進を強調したい。事実、筆者は数カ国の議会議長、議員から援助の打診を受けている。わが国の現行の議会制度と運営の基礎を築いたのは、GHQ(連合国軍総司令部)のウイリアムズ立法課長だ。この「技術移転」がわが国の民主主義の発展と定着に如何に貢献したか。説明は要るまい。今度はわが国の出番だ。

(本文は去る1月28日付毎日新聞の「発言席」欄に掲載されたものと、ほぼ同じものです。)


WP-No.01
ナイロビのストリート・チルドレン救済プロジェクトについて
堀内 伸介
轄総ロ開発アソシエイツ代表取締役 
(財団法人 日本国際問題研究所 客員研究員)(元ケニア大使)
 今回は国際開発アソシエイツがJICAの開発パートナー・プログラムの下で約2年実施してきたストリート・チルドレン(SC)のプロジェクトについてご報告させて戴きます。
 東京ではIDeAがプロジェクトの受け皿になっていますが、ナイロビで20年近くも孤児院を経営してきたナイロビのNGOのSCC(Save the Children Center、代表は菊本 照子さん)が、約20人のケニア人スタッフと共に実際の事業を行なっています。ナイロビもアフリカの他の都市と同様にSCが増加しています。平均寿命は14才とも言われ、病気、犯罪、麻薬等で亡くなる子供が多く、都市の治安の面からも大問題ですが、それよりも子供達の人権問題です。人間としての可能性を伸ばせないで亡くなる訳です。我々のプロジェクトは二つの30万人以上のスラムと二つの1万人以下のスラムを対象にして活動しています。このプロジェクトは一年以上もかけてスラムの住人と対話を重ね、PCM手法を使って、作り上げました。SCに物やお金を上げることはせずに、ケニア人スタッフによるカンセリングが主です。子供から始まり、その母親、スラムの青年と活動は広がっています。カンセリングの目的は、子供達、青年達、母親達と一緒に彼等の問題を考え、そのなかで自分達で出来る事を見出させ、自助努力を後押しすることです。子供達のmind-setを変えるのが目的です。多くのNGOが同じ分野で活動していますが、どちらかと言えば、物を容易に上げて依存心を増加させているのではないかとおもうことがあります。それは援助ではありません。慈善事業です。
 具体的な活動は、先ず子供達との接触から始まります。毎日のサッカーの練習、週2のスカウト訓練、週1の音楽教室、 毎日の識字教室、集団医療、週2の給食と検診などが主です。子供達を決して誘わない。彼等が入れてもらいたいというまで、じっと待つ。2年間で、正確に計算したことはありませんが、延べ3万人近い子供達と接触しています。子供達がスタッフに自分の問題、学校に入りたい、手に職をつけたい、母親のもとに帰りたい等々を話し始めた時に、それでは子供達に何が出来るのか、親に何が出来るのか、カンセリングを始め、彼等に考えさせるのです。例えば、子供が学校に行きたいと希望した時、その親を見付け出して、話をします。お金がないから子供を学校にやれない、という親には、お金をやらず、お金を稼ぐことを薦めます。親にいろいろな職業を見せ、自分に出来そうな職業を選ばせ、その訓練を助けます。縫製、美容師、パン焼き、手工芸等々です。これも強制しない。自分が変わらなければ、自分の生活は変わらないことを理解させます。子供と一緒に故郷の村に帰りたいというときは、スタッフが村に出向いて、親戚、縁者と話しをします。受け入れてくれる村もあれば、受け入れてくれない村もあります。しかし、村の生活に帰るのが一番良いと思っています。
 青年達とPCMを使って、彼等の問題を一緒に考えました。その結果、自分たちが失業している理由の一部は、手に職がないからであるということで、自分たちの手で家具製作の訓練所を作りました。足りない道具、材料の援助を求めてきますが、プロジェクトのスタッフが会合して、要請を緊急性であるとか、さらに前進するためになるとか、依存心を増加しないか等々議論して、助けることもあります。
 子供達は学校、家庭に帰ったり、母親達はパン焼,手工芸などいろいろな仕事を始めています。青年達もコンポストを作り、販売したり、家具、木のおもちゃ等々仕事をしています。なかなか自活できるまでには行きませんが、我々にお金をくれ、物をくれとは決して言いません。自分で自分の生活を切り開いて行こうとしています。依存心からmind setが変わったのです。その努力を我々のプロジェクトが後ろから押して支援しています。援助の原型を見る思いです。(ご興味のある方は、国際開発アソシエイツへ、定期的報告書も中間評価報告書もあります。)
                                               以 上

WP-No.00



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